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「起承転結と三幕構成」

脳内理論好き・構成マニア向け。あと、ひょっとしたら僕作品のネタバレになるかもしれないしそうでもないかもしれない。

また追記に。

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僕は構成法というのが好きで、特にハリウッドで使われている「三幕構成」という構成法のバイブル、シド・フィールドの本が好きです。
ことあるごとに人にシド本を薦めるのですが、理解が浅いため、「三幕構成と起承転結ってどう違うの?」という基本的な説明にすらロクに答えられませんでした。
ですが、今日なんとなくこたえられそうな気がしてきたため、ちょっと書いてみます。

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まず、基本的な概念から。

三幕構成:ハリウッド映画界で主に使われている構成法。
起承転結:日本で主に使われている構成法。漢詩が元。

次に、技術的にどう違うかということですが、まず、三幕構成という構成法の説明から入りましょう。

三幕構成は、3つの「幕」から成り立っていて、それぞれの幕で全く目的が異なります。「家」という建築物が、柱やドア、壁などの、全く目的の異なる部品の集合体で成り立っているように、別個の目的を持つ文脈が組み合わされることで、
「誰にでも理解でき、かつ深い内容を内包できる『物語という建築物』が成り立つ」
という感じです。

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それぞれの幕は、

第Ⅰ幕:状況設定
第Ⅱ幕:葛藤
第Ⅲ幕:解決

という文脈でまとめられます。

また、それぞれの全く異なる幕をつなぐために、Ⅰ幕、Ⅱ幕の最後らへんに「プロットポイント」という転換点が置かれます。「プロットポイント」とは、起承転結でいうと「転」で、三幕構成では「転」が二つあるわけです(もっともシンプルな形の場合)。

~~~

起承転結の場合、もっともシンプルな形では、「転」は一つです。
起承転結=4コマ、という概念から入ると、起承転結は4つの章から成り立っていると考えがちですが、三幕構成的に考えると、「2つの幕」と、「一つのプロットポイント」から成り立っているといえそうです。

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両者の違いを、具体例をあげながら説明します。

三幕構成の場合、まず「状況設定」→「葛藤」という手順を踏みます。
たとえば初代ターミネーターだと、最初の30分くらいで、サラ・コナーとはこういう人物で、敵のターミネーターとはこういう奴で…と状況や基本設定を説明され、「プロットポイントⅠ」の酒場の襲撃シーン以降、ようやく、
「襲い掛かるターミネーターから、謎の男カイルといっしょに生還する」
というメインストーリーに入っていきます。

この方法は誰にでもわかるのはいいんですが、説明がクドくて序盤がたるいのが弱点です。あと、この方法で漫画、とくに読み切りを描くと、尺が足りなくなります。

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起承転結の場合、三幕構成の「Ⅰ・Ⅱ幕」が「起・承」にあたりますが、三幕構成ほど構造がハッキリしておらず、良くも悪くもあいまいです。
起承転結の文法でターミネーターのストーリーを語ると、まず最初に、「サラ・コナーとカイルがターミネーターから生還しなければならない」というメインストーリーに入って、そのあと、ターミネーターから逃げながら、折に触れて各自のキャラクターを語っていくという感じになるでしょう。
三幕構成のように、状況設定から入る静かな立ち上がりもアリで、その辺よく言えば自由、悪く言えばテキトーです。

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三幕構成の第二幕、起承転結の「起・承」は、「葛藤」という文脈でまとめられます。

僕は「葛藤」というものが長いこと理解できず、たとえば能力バトル少年漫画なら、スーパーすごい能力の主人公が、とんでもない悪をぶったおせばそれで読者はドッカンドッカン沸くとか、ラブコメなら、ヒーローとヒロインがくっつけば、それで読者はハッピーとか安易に考えていたのですが、そういう考えだと、テンプレ的な深みのない話になりがちで、面白い話を描くのが難しいと思うようになりました。

実は漫画というのは、ヒーローが悪をぶったおすとか、ヒーローとヒロインがくっつくということよりも、むしろ、ヒーローが悪をどうしてもぶったおせないとか、ヒーローとヒロインがどうしても結ばれないといった、「上手くいかない」状態が、本当のところは面白いし、そこが何気に漫画の本体なのではないかと最近考えるようになりました。

それが「葛藤」という文脈なのですが、たとえばバトル漫画だったら、主人公が異常に強くて、開始5ページで巨悪をぶったおしてしまったら、残りのページもう描くことが何もないし、どうやっても面白くなりようがないんですよ。ラブコメだったら、いきなり主人公とヒロインがラブラブで、特に不和も起こらないようだったら、そんな胸糞悪い漫画誰も読みませんよ。

やっぱり、がんばってるのにどうしても上手くいかないし、成功しないから、読者はページをめくりたくなるし、描く側も力が入るのであって、そこが物語というものの屋台骨なんじゃないかと思います。
「同人王」も、タケオが人生サッパリ上手くいっておらず、葛藤しまくってるのが、偶然とはいえ結果的にはよかったんじゃないかなぁ…と自分では思います。

~~~

「葛藤」というもののイメージを、自分なりのキーワードでまとめると、

・明日が見えない
・迷う
・かなわない、あるいは遠すぎる希望

といった感じでしょうか。
ただ、それを額面どおりに実行すると、大変重苦しい漫画になって読者がゲンナリですので、実際は、ちょっとしたギャグや、キャラクターの漫才的な掛け合いなど楽しい場面を混ぜて、あんまり重くなりすぎないように工夫することが多いようです。

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最初から最後まで葛藤では、見ていて疲れるし、爽快感もないため、三幕構成の第三幕、起承転結の「結」は、「解決」という文脈になります。

「解決」というとちょっと実像とずれますが、要するに抱えていた問題、前提となるストーリーが限界まで煮詰まって、クライマックスを迎える、ということです。
ターミネーターで言うと、トラックにしかけた爆弾が爆発して以降の、二人で工場に逃げ込む場面。ここでターミネーターに限界まで追い詰められますが、最大のピンチでもあるけど最大のチャンスでもあって、最終的には、殺される寸前で何とかターミネーターをしとめることに成功します。そして、物語上の前提となる問題が解決し、「生還」というラストを迎えることができます。

「解決」となってますが、なにも問題が全面解決したハッピーエンドだけが全てじゃなくて、バッドエンドもアリです(その辺は前述のシド本を参照してください)。

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「解決」というものを、自分なりのキーワードでまとめると、

・不惑
・アクション(行動)
・ライバルとのバトル
・クライマックス
・メインテーマ

という感じになります。
「起・承」と、明日の見えない日々で迷っていた主人公が、転換点(転)を経て、迷いを振り切って行動を起こし、強大なライバルと正面対決する。そこでいよいよ物語のメインテーマが明るみに出てきて、最高に盛り上がるというのが、僕の「結」・「解決」のイメージです。
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コメント
この記事へのコメント
ケータイから失礼します。
仕事休み時間にうどん食いながら読ませていただきました。
こういうのあまり考えたことなくて勉強になりましたよ。
ストーリー完結させる構成力ってのはちゃんと学ばなくちゃですね
がんばろー
2009/07/17(金) 13:02 | URL | まる太 #-[ 編集]
まる太先生

お仕事おつかれさまです~
何かちょっとでも参考になるところがあれば幸いですが、あくまでこれは、
「起承転結や三幕構成について俺はこう思うけど、おまいらどう思う?」
という議論のたたき台でしかなく、ここに書いてあることは眉につばをつけて聞いて、実際にシド本などの原典を買ってみることをオススメします^^
あと、次回はうどんがなにうどんかも教えてくださいw
2009/07/18(土) 05:50 | URL | 牛帝 #-[ 編集]
こっちにも書き込みしてみたり……。お邪魔します。
勉強になりました。なんというか、こういう話を聞いていると、「物語つくりたい!」って気分になりますよね。やる気でてきました。ありがとうございます!
2009/07/21(火) 02:55 | URL | 東風 #17ClnxRY[ 編集]
先日はありがとうございました~ そしてこっちにもコメントありがとうございます!
何度か紹介していますが、物語を作るには、「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」という本がオススメですねー
別に物語を作らない方でも、これを読んでからハリウッド映画を見ると、結構見方が変わると思いますので、ウンチク的な使い方でもオススメですw
2009/07/21(火) 07:46 | URL | 牛帝 #-[ 編集]
あまりブログの話題と関係無い事ですみません。
Twitterの記事で自転車の事について触れておりましたが
私としては、是非とも「試乗」をする事をお勧めします。
と言うのも、やはり安い物ではないですし、自転車は自分の力で
走る乗り物なので、実際に乗ってみた方が
細かなフィーリングや疲労度、速度の乗り方などわかりますので。
とは言ってもなかなか試乗車を置いている店も少ないし
置いていたとしても、超本格的な店で10万オーバーがザラとかいう
ブルジョワジーで一見さんお断りな店だったりなんて事も。入り辛い…。
ただ、またがらせてもらうだけでも全然感触が違いますので
店で色々試してからネットで注文しても遅くないかもです。
知人の方で乗ってる方がいたら乗らせてもらうだけでもいいですよ!
ママチャリのフレームとスポーツ車のフレームの違いは思ったより大きいです。

あとプレスポはどう見ても買いです。私も1台欲しいくらいですw
ぶっちゃけ自転車は2万以上出せば、後は重量が重いか軽いかの違いくらいです!

Twitterに入っていないのでここでコメントしてしまいました。
御迷惑でしたら消して下さい。ではでは。
2009/07/21(火) 17:33 | URL | 狂信者 #WzwN2DqA[ 編集]
狂信者先生

レスありがとうございます~
試乗ですか! 自転車板のスレでもそんなのを見た記憶があります。確かに、試乗せずに体に合わないものを買っちゃったら、1000円や2000円の買い物じゃないですから後悔してもしきれませんよねー… 了解です。やってみます。
ただ、狂信者先生お墨付きのプレスポは基本的にあさひにしか売ってないわけですから、あさひでないと試乗できないわけですが、それはできるのかな? あさひスレでできると見たようなそうでもないような… ともかく聞いてみます。
2009/07/22(水) 20:40 | URL | 牛帝 #-[ 編集]
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