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その辺の漫画描き「牛帝」のポータル的ブログでした(引越しました)
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■ オタ界の絵のレベルの底上げは異常

80~90年代、当時人気絶頂期だった週刊少年ジャンプの読者投稿コーナー「ジャンプ放送局」に、「ミスJBS」というコーナーがありました。「とにかくかわいい女の子の絵を送ってくれ」というコーナーで、回を追うごとにレベルが恐ろしいほど上がり、最後の方はアマチュア最高レベルの美少女絵師たちがしのぎを削る場になっていました。
あまりの上手さ、かわいさに、「これがアマチュアの作品なのか!?」と大きな衝撃を受けました。

しかしもはやそれも昔の話。オタ界の絵のレベルの底上げは凄まじく、いま「ミスJBS」を見ると、正直なところ見劣りしてしまいます。もっと上手いアマチュア絵師は、それこそネットにはいて捨てるほどいます。
現代では「けっこう上手い」レベルのアマチュアでも、当時のミスJBS常連クラスより上手いですし、ハッキリ言って当時のプロ漫画家よりも上手いと思います。

信じられないほど上手い絵師が腐るほどいて、しかも日々レベルが上がり続けている。描く側からすると、地獄に近いほどの苛烈な競争社会です。青天井といっていいほど努力しても、ついていくのがやっとか、むしろ引き離されていく。



■ 現代日本のオタ絵界は 下手すると人類史上もっとも激しくつばぜり合いしている

「そのへんの、絵が得意なバイトのお姉さんを連れてきて、絵を描かせたら、半プロレベルで上手かった」

普通にありそうな話ですが、ひょっとするとこの話がリアリティを持てる地域は、全世界、全時代を通して、現代の日本しかないのではないでしょうか。

もちろん本格的に描いている人は、どこの国や時代でも上手いでしょうが、別に専門教育を受けてもないし、趣味でちょっと描いてるだけなのに半プロレベル。そんなのが無数にいる。普段は意識しませんが、すごく珍しい世界だと思います。

競技人口と平均レベルの掛け算で見たら、下手すると現代日本は、人類史上もっとも激しく絵のつばぜり合いをしているのではないでしょうか。
実際、ここ20年くらいのオタク界の絵のレベルの上昇速度は、世界の上昇速度を上回ってるでしょう。世界レベルでのつばぜり合いより、日本国内のつばぜり合いのほうが激しいと自分は考えています。



■ 似た世界:和算

個人的に似ていると思うのは、鎖国下の江戸時代で日本独自に発達した数学「和算」です。

今では信じがたいですが、江戸時代は数学が大ブームで、多くの庶民が数学を楽しんでいました。
なにしろ日本中で数学をやっていたので、競技人口が非常に多く、レベルの底上げも激しく、頂点層の実力はきわめて高いものとなっていました。
世界的な数学の大発見を、何十年も前に鎖国下の日本人が独自に発見したケースもいくつもあります。世界的なつばぜり合いより、国内でのつばぜり合いのほうがよっぽど激しかったのです。

その後、ペリーが来て開国するわけですが、野蛮な未開の国だとナメきって乗り込んできた外人たちが、その辺の庶民が専門家レベルの数学を理解する姿を目の当たりにして、度肝を抜かれたとか。



■ インターネットと「学習の高速道路」(1) 将棋の世界では

近年の絵のレベルの底上げの原因は、まず間違いなくパソコンとインターネットの普及にあるでしょう。
将棋界でもレベルの底上げが起こっており、棋士の羽生善治さんはそれを「学習の高速道路が敷かれた」と表現しました。

・パソコンの普及で棋譜検索が簡単になった。
・そのことで将棋そのものが整備され、体系化されていった。
・良質の教本やレファレンスが増え、効率よく学習できる教材が充実していった。
・「ネット将棋」が出現し、地方在住でも強豪(プロ含む)と対戦できるようになった。

それらの相乗効果で、恐ろしいまでにレベルが底上げがされた。



■ インターネットと「学習の高速道路」(2) 絵の世界では

絵の世界でも、ほぼ同じことが起こっています。

・パソコンやネットの普及で、良質の絵、作者を探すのが簡単になった。
・描き方そのものが洗練され、立体的に進化していった。
・ネットに絵の講座が充実し、市販の技法書をピックアップする仕組みも発達した。

また絵の世界も、ネットにより全国区の戦いになりました。ネット以前では、絵におけるライバルは、学生なら近郊の学生、社会人でもリアルで足を伸ばせる範囲の人に限られていました。しかしネット以後、戦いの場は全国に移り、ライバルの数は想像もできないほど増えました。
以前は超レアキャラだった超上級者(プロ含む)とも普通にでっくわすようになりました。それ以前とは比較にならない超激戦区になったのです。



■ 底上げの行きつく先は……?

この流れの行き着く先はどんなところでしょうか。
バイトのお姉さんが寺田克也なみに描けるような世界なのか。
それとも和算のように衰退してしまい、後世の人には異常極まりない世界と認識されるのか。

振り落とされないように頑張りつつ、なるべく現場で見届けたいと思います。
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コメント
この記事へのコメント
でも一番痛いのはネーム力の底上げでしょう?(ドヤ顔)
でもここ十数年、アスキーの奥村編集長とかによると、
底が上がる所か下がってるらしいじゃないですか
原因は知りえた情報、経験の均一化の弊害と予想してみる
2011/12/23(金) 21:13 | URL | ツッコミ #cRy4jAvc[ 編集]
ネット関係無いですが、80年代のバイクブームが有る意味近い感じで
毎月のようにメーカーから新型車、新技術が発表され
日本中の峠と言う峠が走り屋で埋め尽くされ、サーキットの草レースでは
参加者が多過ぎて毎回二次予選、三次予選が当たり前という時代。
世界的に見てもその時代の市販最速バイクは日本メーカーが独占
(一部欧米勢が気を吐いてましたが)というまさに「狂った時代」が
有ったんですが、法規制で全て死に絶えました。
恐竜的進化を遂げた分野は、そのまま行きつく所まで行って欲しいですが
二次元全般もそっち方面で進化が切り捨てられたら残念だなと思います。
2011/12/23(金) 23:36 | URL | 名無しさん #WzwN2DqA[ 編集]
「上手い絵」の具体例が少ないので、意図が読み取り難いです。

寺田克也さん以外にも、それぞれの仮説の具体例をお願いします。
2011/12/24(土) 09:55 | URL | hirosima #-[ 編集]
ヘーゲル的弁証法で到達される頂点にはもう達してるような気がします。これからのネット絵師は構造主義的な思考をすべきではないでしょうか。
2011/12/24(土) 11:04 | URL | 名無しさん #-[ 編集]
ごりごり規制されて食えなくなって絶滅すると予想。具体的には同人の締め付けが厳しくなって食えない→辞める。あと少子高齢化で新規参入者が減って、先細りしていくってのもあると思う。
ただまぁpixiv見てても中台韓と他国の絵師も腕を上げてるから、2次元は不滅。そこまでは心配してない。
2011/12/24(土) 12:27 | URL | 通りすがり #4SZw2tfw[ 編集]
>ジャンプ放送局
他紙と違ってコミック化してるから(即絶版ですが)、
過去と現在のハガキ職人の優劣は比べられますね。

法規制は有害無害で決まるからなぁ。
バイクは騒音排気ガス交通事故etcで来ちゃったんでしょ。
同人も児ポ禁法アグネスPTA脱税(全体の2%なのに・・・)etcで
どうなるか、って所ですが、
俺ら庶民はあまり考えなくていい。
2011/12/24(土) 14:02 | URL | sage #cRy4jAvc[ 編集]
2~3年前「ホットミルク」誌が復活した時久方ぶりに購入して読んだら、投稿漫画の
選考評が載っており「美少女漫画は絵が命なんでもっと努力を」みたいな評が
付いていたんだが、画力だけならどうみても自分が購入していた頃の「パピポ」や
「アットーテキ」の連載陣に割って入れるレベルw
「いちごみるく」の時代だったら看板取れる。
2011/12/24(土) 15:41 | URL | 名無しさん@ニュース2ちゃん #-[ 編集]
ピカソのような絵描きはまだ出ていない様に感じる
和算ブームも基本的に脳トレと同じですし
今の絵も実用的な物ばかりです。
芸術としてもう一歩先に進むのは難しいと思います。
理解されませんから
消費されるだけの絵ならばここら辺が限界でしょう。
2011/12/24(土) 16:07 | URL | 名無しさん #-[ 編集]
絵のレベルということで、イラストに限定するけど、絵の各パーツが画一化してるから、出来てくる絵の雰囲気も似たり寄ったりなのが多いよね。

細かいところを見ていけば線が綺麗とか色使いが特徴的とかずば抜けて構図が安定しているとかあるけど。

絵のレベルが上がっていることもそうだけど、描くことと発表することの敷居が低くなったおかげでもあるよね。
2011/12/24(土) 18:48 | URL | 名無しさん #-[ 編集]
>でも一番痛いのはネーム力の底上げでしょう?(ドヤ顔)

今は新人に求められる要素が絵のきれいさに偏りすぎてて、
絵は下手だけど個性的なタイプや、絵は垢抜けないけど
巧いタイプとかがまず門前払いされるような状態なので、
絵以外の要素が衰退するのは当然の推移かと。



>ネット関係無いですが、80年代のバイクブームが有る意味近い感じで

当時の峠の映像とか見ると、本当に峠を埋め尽くさん限りの
バイクが密集して走ってて、異次元感が凄まじかったですね。
そして実際そんな狂った時代だったんですねぇ……
終わり方も法規制というのはちょっと寂しいですね。
オタ界がそういった終わり方にならないことを祈るのみです。



>「上手い絵」の具体例が少ないので、意図が読み取り難いです。

実際に絵を描いてる人からすると、例がなくても伝わると
思いましたが、そうじゃない人にはわかりづらかったかも
ですね。



>ヘーゲル的弁証法で到達される頂点にはもう達してるような気がします。

ちょっと良くわかりません。すいません。



>ただまぁpixiv見てても中台韓と他国の絵師も腕を上げてるから、2次元は不滅。そこまでは心配してない。

実際、PIXIVとかで中韓台のあたりの人っぽい、すごい
上手くて完璧な萌え絵描く人いますからねー
今後20年くらいの間に、そのあたりに主戦場が移ってく
可能性もあるのかも。



>他紙と違ってコミック化してるから(即絶版ですが)、
 過去と現在のハガキ職人の優劣は比べられますね。

記憶ではなく、記録で比べられるというのは貴重
ですよね。記憶だとけっこう上書きされちゃいますけど、
記録は当時のままですからね。
でも載った絵師の側からすると、
「今だったらもっと上手くかけるのに…」
ってのは絶対有りそうですw



>画力だけならどうみても自分が購入していた頃の「パピポ」や「アットーテキ」の連載陣に割って入れるレベルw

記憶違いかもしれませんけど、90年代前半くらいまでは
「絵が下手だからエロ漫画家になって鍛えてくる」
みたいな世界観がごく一部にはあった気がしますが、
いまだとどのエロ漫画家さんも滅茶苦茶上手いっすからねー
時代変わったなと。



>ピカソのような絵描きはまだ出ていない様に感じる

萌え絵はどこまで行っても消費物で、あんましアート
とは交わらなさそうな気もしますが、さらに進化すると
そっちの方と混ざっていくこともあるのかもですね。



>絵のレベルが上がっていることもそうだけど、描くことと発表することの敷居が低くなったおかげでもあるよね。

確かに、発表の場が広がったことは非常に大きいですね。
記事には書きませんでしたが、誰でも発表できて、
世界中から見てもらえる環境というのはものすごく
影響してると思います。
2011/12/25(日) 10:00 | URL | 牛帝 #-[ 編集]
>>実際に絵を描いてる人からすると、例がなくても伝わると
>>思いましたが、そうじゃない人にはわかりづらかったかも
>>ですね。

分かりました、これからも精進します。

2011/12/25(日) 16:57 | URL | hirosima #-[ 編集]
物ごころついた時から上手い絵と上手い人が溢れていて、
逆に絵を描こうとしなくなる世代になっていくのか

それとも全ての子供が遊びの中で
当たり前のように理論的な描き方を習得するようになるのか

ぱっと思いつく例だと
前者が全国ランキングが定着した後のゲーセンで
後者が携帯小説(的な簡易な創作文)でしょうか
2011/12/25(日) 18:27 | URL | 名無しさん #-[ 編集]
>分かりました、これからも精進します。

他の方からも「作例がないとわかりづらい」
というご指摘をけっこういただきました。
ちょっと絵描きという身内のみに向け過ぎて
いたかもしれません。失礼いたしました。



>前者が全国ランキングが定着した後のゲーセンで
 後者が携帯小説(的な簡易な創作文)でしょうか

どっちになるでしょうねぇ… 個人的には、
あまりにレベルが上がりすぎたコミュニティが
衰退していくのをいくつか見ているため、
前者にならないといいなと思っています。
2011/12/25(日) 19:07 | URL | 牛帝 #-[ 編集]
>>ちょっと絵描きという身内のみに向け過ぎて
>>いたかもしれません。失礼いたしました。

絵描きというのは身内ではありません

ただの意思です

これだけは言わざるを得ませんでした。

では、これからも頑張って下さい。
2011/12/25(日) 19:46 | URL | hirosima #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/01/14(土) 22:52 | | #[ 編集]
 記事を拝見させていただきましたが、私も本当にその通りだと感じています。
 しかし絵の学習環境の高速道路が出来上がった、というのも大きいと思いますが、いわゆる「オタク絵」、「萌え絵」というジャンルが確立されたことも大きいと思います。最初から方向性が見えていれば、そこへ到達するまでにかかる時間も短くなるのではないでしょうか。
 逆に言うと、全体的に似たような絵が多い気がします。
 台湾や韓国、中国の方の絵を見ても、日本の萌え絵と区別がつかないほどです。それがいいか悪いかは分かりませんが。
 上手くなっていくなかで思うことは、他ジャンルとの競合はなくなっていっている、という感じでしょうか。
 萌えが好きな人が、萌え系の作品を描く。結果として類似品ばかりになっているような気がします。
 萌え系の作品はそれなりに好きなので、もっと予想外の発展をしていくようになって欲しい、と思っています。
2012/04/08(日) 13:57 | URL | ハム太 #-[ 編集]
>ハム太さん

たしかにそのとおりですね。ジャンルが確立したことで試行錯誤の時間が減ったというか、一直線に進めるようになったことも大きいでしょう。

あと先日、友人と話していて気づいたのですが、いまは漫画・アニメ系の絵の人はだいたい「かわいい女の子を描く」ことに才能のリソースを割いていて、実際かわいい女の子がかければ、ラノベの挿絵をやったり、エロ同人を描いたり、活躍の道が簡単に開けるんですよね。
そんな風に、リソース投下の方向性が確立して、多数のド才能が「萌え絵」というジャンルに才能のリソースを集中投下しだしたのも、爆発的進化の一つの原因なのかもですね。

そして確かに似たような絵が多い。萌え絵に精通しているならともかく、一般のかたはまったく区別できないでしょうね。中国台湾韓国のあたりの絵描きさんも、ホントに絵だけだと日本人か区別つかない。

洗練によって多様性が失われるというのは、格闘技とかもそんなところありますよね。ただ絵は格闘技と違って、どんなに上手くても似たようなのばっかりになって飽きられたらまずいですから、予想外の系譜とかも欲しいところですねー
2012/04/10(火) 12:25 | URL | 牛帝 #-[ 編集]
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